約束までの時間を有意義に過ごすための独り談話室

離婚されるそうなので一人暮らし準備の為の心構えと今までの回想録(メモワール)

Halloweenの苦いお菓子

今週のお題「ハロウィン」

 

イギリスに移った最初の秋、ハロウィーンのために(あちらのケバケバしい包装に)物珍しさもあり、子供たちにお菓子を買った。

 

近所に住んでいた駐在仲間のTさんから、

「子供たちが回ってくるから、お菓子を用意しておきなさいね」

と言われ真に受けたので、

袋菓子のクッキーやチョコやキャンディを全部で20ポンドほど買った。

玄関ドアにはハロウィーン用のかぼちゃのオーナメントを玄関先に飾っておいた。

ランドロード(大家)がそれを見て、ちょっと不安そうな顔をして、こう言った。

 

「知らない人間には、簡単にドアを開けたらいけないよ」

 

当日夕方、車の脇に溜まった落ち葉をはきだそうと玄関先に行くと、

こちらを凝視しているワタシよりも少し若い女性が2、3人で固まっていたが、

ワタシが視線を向けると通りのほうに戻っていきながら、その中の黒人女性が口元だけで微笑みながら、軽く手を振ってきたのでこちらも笑みを返した。

(友人の家でも探していたのかな?)

くらいに思っていたが、その理由があとから分かる。

 

この時期、ロンドンは4時には真っ暗だ。

夕飯の支度をして、子供たちをお風呂に促し、夕飯をとっていると、

インターフォンが鳴る。

まだ6時前だし、夫は早くとも9:00の帰宅だ。

 

除き穴から見ると、子供たちが5,6人で叫んでる。

TRICK OR TREAT!!!」

 

子供のすぐ後ろには親であろう、女性たちも立っていた。

ドアを開けて、ひとつないしふたつ程のお菓子を配ると、

驚いたことにお礼も言わずにその場で袋をむしり取り、チョコレートを口に放り込むとさっさといなくなった。

ポカン、としていると10分も間をおかず、次の集団が来た。

こちらも先程同様、まるで餓鬼の群れだった。

その時、子供たちのうしろに立っていた黒人女性に目がいき、ハッとしたのだ。

夕方前、家の前に来ていた、あの集団にいた女性だった。

 

その時になってはじめて、ワタシは気付いた。

近所の誰も、家の周りに「それらしい」ハロウィーンの装飾などは一切していない。

 

餓鬼どもの集団が口先で「Thank you」と言いながら、ボオルの中身を全部引っ掴みながら、

「そっちのクリスプス(ポテトチップス)も!」

と玄関の中に入ってきた時点で、ワタシはやっと我に返り、玄関から彼らを押し出した。

うちの子供たちは現地の子供たちのすさまじい食いつきっぷりに、不安気な表情をして奥から覗いている。これはマズイ、と思いすぐに玄関のオーナメントを外し、外灯を消した。すると第二弾の集団を追い出した直後、次の集団が激しくインターフォンを鳴らし始めた。

真っ暗な玄関先から除き穴で外を見ると、やはり先程「偵察に来ていた」見覚えのある女性のひとりが子供たちを連れてきていた。

集団はインターフォンを約2分ほど無視したそのあと、ザワザワと文句を言いながら(ある子供は泣きながら!!)戻って行った。

今でも振り返ると気分の悪い、ハロウィーンの思い出だが、

日本の子供たちのようにお行儀のよい事をやっていたら、この広い世界では生き残れないのかも知れない、と思いめぐらせたのもつかの間、否、そうではない、ともう少し考えた。

その親である彼女たちがわざわざお菓子を配りそうな家の見当をつけて歩いていたのには、やはり品がないというか、そこまでして無料(タダ)のお菓子を自分の子供たちに与えたいのか、その行動に不安を感じた。

 

ああ、ここはやっぱり日本じゃないんだ、と

改めて感じたのだ。

 

 

翌朝、玄関先まで出て、また驚いた。

昨日の餓鬼らがお礼も言わず食べ散らかしたお菓子の袋が我が家の玄関先や通りにまで散乱していたのだ。もっと腹が立ったのは、食べかけのお菓子がそのまま垣根に置いてあったり、通りにキャンディが散乱していたことだ。

 

通りの向こうの家の奥さんが、こちらを見て微笑みながらも肩をすぼめて「やれやれ、ね」という仕草をした。

近所のみなさんがアメリカ式のハロウィーンを受け入れないのには、こういう訳があるからなのか、とお菓子の袋を拾いながら、後悔と反省と異国の無情さにため息をついた。(因みにワタシはそのすぐ後、近所の老婦人に叱られた。お菓子を配るなんて、馬鹿な真似しないで。静かな夜が子供に邪魔されるなんて・・・と。ホントに申し訳なかった。このご婦人の言うとおりだ。浮かれたワタシが馬鹿だった)

どこの世界にもいる、ちょっと「アレ」な親たちと、その子供たち。

 

でもお菓子は捨てるな。

 

オマエラみたいなもんは本当に悪霊に連れて行かれろ。

 

 

と、東の国からきたオバサンが罪深い一部の英国人を呪っていた、そんな秋の終わり。