約束までの時間を有意義に過ごすための独り談話室

離婚されるそうなので一人暮らし準備の為の心構えと今までの回想録(メモワール)

切り裂きジャックの正体・・・

さっきスマートニュースで見てしまったからには、

どうにもこうにも書かずにはいられない。

 

切り裂きジャックの正体がDNA鑑定で明かされてしまったのだ。

今までの定説のなかで容疑者であがっていた、アロン・コスミンスキーという理髪師だ。

 

「しまったのだ」という言い方は、

UFOの正体が実はアメリカ軍の兵器でした、くらい興ざめなガッカリ感のようなものだと認識してもらえたら、大きく外れてはいない。

そのくらいの、ガッカリ感だ。

 

誤解を恐れずに言えば、稀代の殺人鬼の正体が、実はポーランド移民の理髪師だった、というなんともふんわりした印象で、殺害された方々の無念さとは何か、奇妙にかけ離れた現実味があり、ひどくお粗末な感じだからだ。

殺人事件にお粗末もなにもないが、切り裂きジャックはもはや、一種異様な世界観を醸し出すキャラクターで、その残忍さがむしろ彼のマニアを生み出していたため、そういう人間たちの中では「裏ヒーロー」的な扱いだった。(あのジョニー・デップ切り裂きジャックのマニアを公言しているし、様々な形で映画やドラマ、小説、漫画、音楽のモチーフのなっている)

何故ならば、彼には顔がなかったからだ。

正体不明すなわち顔がない、だったら好きなように想像出来る。

これは格好の題材である。そもそもどんなに頑張っても、もう絶対に存命ではないことも、好き勝手にいじれる理由のひとつだ。嫌な言い方をすれば、

「自分に直接害はない」

(余談だけど、まさに同じ時代に生きたコナン・ドイルは「シャーロック・ホームズ」の中に切り裂きジャックを登場させなかった。想像でしかないけれど、同じロンドン市内で起こった《その頃ドイルはロンドン南郊外のクロイドン付近サウスノーウッドというところに住んでいたらしい。そこは現在ではグレーター・ロンドンの括りだが、当時はロンドンではなかったかも知れない。事件のあったイースト・ロンドンとはテムズ川で隔てられていた》連続殺人は、医師であり小説家のドイルをも不安にさせるなにか鬼気迫るものがあったのかも知れない)

 

そういう怖いもの見たさで、様々な方法やアプローチで切り裂きジャックの正体を暴こうとする番組やジャーナリストの本などを読んで、あれこれ思いにふける。

もちろん、殺害された女性たちにはなんの罪もないので、申し訳ないのだが、あるいはこの世で初めてのシリアルキラーだろうとされるジャックの人間像などは、どんなに想像してもし尽くせない、混沌とした闇の深い沼を眺めるしかないのだが、

いつもこういった猟奇的な事件を起こした者たちの人物像を目にする時、私達は少なからず驚愕する。何一つ、私達と違わない生活をして、同じようなものを食べ、ある程度の教養は持っていて、なおかつ家族もいる。木の股から生まれるような、異種で異様な怪物ではないことが、より一層の恐怖となるのだ。

 

どうしてなのか知りたい、と思う。

人間の心理は海のように深く、底知れず、宇宙のようにはるか彼方を進む。

何故そこまで残忍になれるのか。何故そこまで執拗に命を狙うのか。

一線を越えてしまう「何か」とは、「何」なのか、

それはいつ、芽生えてしまったのか。

 

でも、知らないほうが良いのだとも、思う。

それはきっとどんな人間にも、その時の波長のようなもので、

越えてしまえる「何か」を見つけてしまうのか、失うのかは分からないが、

知ってしまったら、それはもう人ではなくなる。

自分は決してそういう事をする人間ではない、と信じていたい、自分自身への勝手な安全確認作業なのだ。

 

 

ジャックのような者たちの心理のさわりを覗き見しながら、

「ああ、自分はまだこちら側にいてもいい人間なんだ」

と安堵する。

でも本当に安心しきっていていいのだろうか?

 

彼は頭のオカシイ王家直属の医師でも、屠殺業者でも、蹄に黒いしっぽをした悪魔でもなかった。

 

切り裂きジャックが本当に例のポーランド移民の理容師だったのなら、

 

きっと私達の生活圏の中に、ジャックのような因子を持つ者がいたって、

なんら不思議ではないのだから。