北総ロザリオ文芸部

タイトル一新です。離婚(予定)後の自由満喫と今までの回想録(メモワール)

カザフスタンのチョコレート



最低限の生活は出来るものの、

離婚成立までは、毎月数万円の赤字で暮らす「元お嬢様育ちのリンカ様」だが、

このところさっぱりチョコレートを口に出来ない哀しみから、

少々鬱気味になっていたので、チョコレートの思い出話をしたい。

 

ワタシと同世代の方ならば子供の頃はそう簡単に親からチョコレートをもらうなぞという事はなかったはずだ。

我が家は自営業だったため、サラリーマン家庭よりは比較的食事は豪華な時は豪華だった。(年末年始は母のつくるお煮しめやおせちのほかに荒巻鮭一本、お屠蘇(と言う名の八海山やレミーマルタン)と近所のお寿司屋さんからとる家族人数分のおひつでくる特上寿司、デパートで出始めたデパ地下惣菜、そこにお歳暮のハムや文明堂のカステラなど、もう何でもアリだった)普段口にするものは特段豪華でもなければ質素でもない、三陸の生雲丹をいただくのも、カップヌードルをいただくのも日常の風景だった。

とはいえ、普段遣いのチョコレートとなると話は別だった。

そもそも両親ともに

「チョコレートは歯に悪い。食べると鼻血が出る。」

というよくわからない民間信仰の信者だったので、チョコレートが家に在る際には兄弟での争奪戦になった。たった一枚のロッテのガーナチョコの何分の一であるひと切れが欲しい為に、一所懸命洗濯物をたたみ、お風呂掃除を請け負い、玄関をはいた。

 

小学生の時はミルクチョコレート、中学生でブラックチョコレートの美味しさを知り、高校卒業になるともはや様々なチョコレートが溢れかえり、いろいろな意味でバブルに突入すると、チョコレートはもはや、高嶺の花ではなくなっていた。

 

 

夫の仕事の帯同で欧州に行くと、そこはもちろんチョコレート天国だった。

欧州は何世紀も前からカカオ豆や砂糖のプランテーション化に成功していた為、呆れるくらいの量や種類のチョコレートが年中無休で店頭にあふれている。

ヴァレンタインには男性から女性にチョコレートの詰め合わせとワインと花はすでにセットになっているし、

復活祭ではイースターエッグとバニーのチョコ、クリスマスにはバケツ大の箱に入ったチョコレートを小さな子供やお年寄りまで、レジまで抱えていく。

ショコラティエショコラティエールのいるようなオシャレなお店では、チョコ・ファウンテン(チョコの噴水)から湧き出るなめらかなチョコの質感にしばし見とれた。

そんな土地に何年も住んでいたので、毎日のようにチョコを食べていた(気がする)。

 

だけどどんなに高いフランス産のチョコやミルク感が素晴らしいと評判のスイス産のチョコでも、ワタシは満足出来なかった。

日本のチョコのようななめらかさや上品な甘さというクオリティを、100円相当の値段で実現出来ている日本の技術に改めて驚いたのだ。

 

そんな失意(?)のなか、ドイツにいる時に息子を連れていったロシア系スーパーで奇跡の出会いがあった。

(余談だがそのロシア系スーパーの駐車場で売っていた豚のシャシリーク(肉の串焼き)が息子の好物で時々行っていた)

たまたまチョコレートを欲しがった息子が、なにやらイスラム風な美しい青いアラベスク模様のパッケージの板チョコを持ってきたので、何も考えずに買い物カゴに入れ、会計を済ませ帰宅した。

家についてしばらくすると、

息子の感嘆の声が。

 

「お母さん!!このチョコレート、すごく美味しい!!」

 

勧められるまま、一欠片を息子からもらい口に放りこむ。

 

・・・・・ん!!!(ウ)ンマイ!!!!

 

パッケージを見せてもらうとキリル文字で「カザフスタン」と読めた。

知らなかった、カザフスタンのチョコレートがこんなに美味しかったなんて!

欧州のチョコはどれも結構脂っぽく、ただ甘いものが多い。

そのチョコはまるで日本のチョコレートを食べているような懐かしい味でした。

あっさりしたブラック系で、甘すぎず脂っぽくなく、本当に美味しかった。

 

ドイツにも「猫の舌」という名前のチョコや、スイスのリンツなぞという美味しいチョコレートはあったけど、息子と二人で台所でかじって微笑み合った、カザフスタンのチョコレートは何故か忘れられない。

(それから何度そのスーパーに行っても、同じチョコレートがなかったので母も息子も非常に悲しんだ)

いつかウラジオストークに2泊くらいで旅行に行こうと考えてるので、

そこで漁ってこれたらいいなあ、とも考えている。

 

(でもカザフスタンがどんなところなのかも知らない。一度カザフスタン人に間違えられただけである)

 


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確か、このパッケージだったように思う。

息子に確認するも、もうほとんど忘れた、と言うことだけど…多分、コレ。